Japanese Horticulture-Origins and History
平成29年度「小松崎園芸文化賞」受賞!
平成27年12月刊行の『JAPANESE HORTICULTURE Origins and History』が、平成29年度小松崎園芸文化賞の受賞作品に選ばれることになり、賞創設母体の公益社団法人園芸文化協会から本年6月に授与されました。「故塚本洋太郎博士と故ジョン L クリーチ博士の遺族の元に残された未完の英文原稿を整理、刊行した本書は、日本の植生景観や世界に類をみない独自の園芸植物文化がなぜ日本で発達したのかを知るうえで、極めて有意義で高い価値のある資料である。」という理由で、このたびの受賞決定となりました。
Tsukamoto and Creech
“JAPANESE HORTICULTURE Origins and History”
This year’s winner of the Komatsuzaki Horticultural Prize!
The Prize was awarded to the publication “JAPANESE HORTICULTURE Origins and History” (late Dr. Y. Tsukamoto and late Dr. J. L. Creech, 2015) by Japan Horticultural Society, PIIA, Tokyo, in June, for which WOODS PRESS expresses our deepest gratitude to the Society. The Society says “The prize-winning book given to the world, as being thoroughly and carefully edited from the incomplete manuscript due to the death of the authors, by the Publishing Committee members is the very highly valuable and important source for universally informing that Japan has a rich vegetation which has historically gathered horticultural interests from the Western world, and why a unique horticulture developed in Japan.”
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戦後の日本園藝学界をリードしてきた塚本博士(1912−2005)と、米国の園藝学界に多大な貢献をなしたクリーチ博士(John L. Creech, 1920−2009)による未完の共著英文遺稿を、刊行委員会のもとで整理編集し、委員による注および200点あまりの図版を加え、塚本博士歿後十年を経て出版。
クリーチ博士は、第二次大戦後の米国農務局(USDA)在籍から国立樹木園(The U.S. National Arboretum)園長時代に(1955−1978)、観賞・有用植物の資源探索の目的で6回も日本に探険を敢行、うち5回は自ら採集に携わるという、まさに二十世紀後半を代表する植物探険家のひとりだった。その日本への強い関心は、まさに日本の植物が米国で観賞景観植物として多用されているからであるが、さらに、長年緊密な友情を育んできた塚本博士を通じて、日本の園藝植物の歴史と伝統にも強い関心を抱くようになった。
本書は、江戸時代に独自の発展を遂げた日本の園藝植物文化の歴史を、その発展要因の考察とともに述べながら、それが世界(とりわけ米国)に与えた影響を記す。江戸末期から昭和にかけて来日し、日本の植物に深い関心を抱いた米国のプランツマンたち、これまで広く紹介されてこなかったかれらの果たした役割にも言及する。
日本の植物文化が世界に貢献してきたという歴史的事実と、日本を「国立公園のような国」とまで言い切るクリーチ博士の、「列島の植物と自然」への憧憬に深く裏打ちされた本書は、森林国日本に住むわたしたちはもちろんのこと、多くの読者に、独自の文化というソフトパワーがもつ「普遍的価値」に気づかせてくれる書でもある。
広汎な読者ために英語で執筆されたが、植物名索引には和名を、一般事項索引の「日本の人名・書名・地名など」には日本語も併記し、日本の読者の便宜もはかった。
[本書刊行委員:大場秀章、今西英雄、安藤敏夫、森弦一]